カエルの話

17-8-11

 夏は小学校の観察会の季節だ。声がかかる小学校はどこも川での観察会。暑いしやっぱり川というのは分かるけど、水生生物の多くはもう孵化して水の中にはいないので、もうすこし早い時期に企画してくれないかなと思う。

 で、観察会の時、講師の挨拶がある。そのとき「カエルが大好きです。見つけたら教えてね」と声をかけておく。カエルに限らず大勢で川の中に入ったら思いがけないものが見つかって、やった!と思うことがたくさんある。スナヤツメ(ウナギの仲間、これは貴重種なので新聞にも載った)ナマズ・ウナギいろんなものを子どもたちは捕まえる。

 7月に田尻小学校の3年生と蕨川を探検した。蕨川は学校のそばの小さな小川だけれど、水はきれいでたくさんのサワガニがいる。川は初めて、カニを触るのも初めてがほとんどの3年生と川に入る。「いないよ!」と騒いでいた子どもたちも分かってくるとたちまちバケツの中がサワガニだらけになる。魚の稚魚やモクズガニやアメンボも捕まえている。

 「カエル捕まえたよ」と持ってきてくれたカエルをみるとなんと「カジカガエル」。写真を撮ろうとするとカメラ目線をするアマガエルと違ってカジカガエルは足音がしただけですぐ隠れてしまうシャイなやつ。よく捕まえたな~。よっぽどドンなやつじゃ(大分弁でとろいこと)。うれしくなって写真を撮りまくる。

 子どもたちにカエルの話をする。おりよく「フィフィフィー」ときれいな声でカジカの鳴き声がする。セミに似た声なので子どもたちもにわかには信じられない様子。仲間がいなくなったので探してるのかもしれないねと、しぶしぶ逃がす。

 後日、3年生からもらった感想文に「わたしもカエルがすきです。カジカガエルはとってもいい声でなきましたね」というのと「私はカエルがだいっきらいです。私がなぜカエルがきらいなわけは、おなかのところがきもちわるいからです」というのがありました。ふふふです。

大好き!ササラダニ

17-7-22

 仕事を変わって、研究室の手伝いをするようになった。何でもかんでも初めてのことばかりで、仕事といいつつ毎日勉強させてもらっている。

 その中の一つに「土壌調査」がある。土の中の生き物を調べて、その場所の「自然度」を調べる。土の中には、ミミズ・ヤスデ・アリ・クモ・ダニ様々な生き物がうようよいる。どういう生き物がどのくらいいるのかでその場所の自然度の高さが分かる。指標として分かりやすいのは土の中のダニでササラダニ類の仲間。このダニは人や獣の血を吸ったりしないで地面の中で落ち葉を食べて生きているカワイイやつ。

 調査地点の腐葉土をふるってとってきてツルグレインという装置でダニを取り出して調べる。装置にかけると、腐葉土の中のダニがアルコールの入ったビンの中に落ちる。そのとき土や落ち葉のかけらが混ざるのでシャーレに移して顕微鏡で拡大しながら、ダニだけをピンセットで拾っていく。顕微鏡でのぞくシャーレの中はやたらと広い。ヤスリでとがらしたピンセットの先が割り箸のように見える。ササラダニは大きくても1ミリぐらい、小さいのは0.2~3ミリぐらい。こんなに小さくても、カラフルで足があって生殖器があって毛もはえていて、それぞれにユニークな形をしている。拾い損ねてピンセットの先にダニのおなかが刺さってしまうと泣きたくなる。大事に拾って標本を作る。

 標本には学名や採集した場所・年月をはりつける。学名は普通発見した人がつけることができる。ササラダニ研究の第一人者、青木先生の趣味というか、センスが光るというか、これでいいのか的な名前が沢山あってダニ拾いの日々を楽しませてもらっている。

 イラストに描いたのは本物からイメージした形。名前も姿もおもしろいものがもっともっと沢山いる。ササラダニだけで650種類以上。そのうち青木先生が名付け親なのが200種以上ある。彼等は地面の下で落ち葉をさくさく食べて生きている。

「野鳥の会」と「自然観察指導員」

17-6-7

 すこし前の話、年が明けて最初の観察会を「野鳥の会」の人たちの案内で河口の冬鳥の観察を行った。杵築、八坂川河口のコンビニの前に集合。朝から雨で寒い。コンビニでホカロンを買い込む。野鳥の会のメンバーと自然観察の仲間と半々ぐらいで20人ぐらい。もちろんどちらも兼ねている人もいるが、どうしても好きなほうがはっきりしている。

 あいさつがすむと、大きな望遠鏡や三脚が車から出てくる。りっぱ(高価)な双眼鏡も首に掛かっている。さくさく準備がすんで観察が始まった。ヨシガモ・ダイシャクシギ・マガモ・コサギ次々に名前を教えてもらう。河口に珍しいカワセミがいる。カラスが何か空中から落としている。貝を落として割ることもあるそうだ。

 30分もすると指導員たちは飽きて来た様子。ただ双眼鏡でながめているだけがつまらないのだ。でも野鳥の会の人たちは熱心に見ている。指導員たちはあっちにうろうろ、こっちでおしゃべりが始まる。でも野鳥の会の人たちは飽きずにながめている。自然観察会では、さわったり、においをかいだり、食べたり、いろんなことを移動しながら行う。ずいぶんかってが違うなと思っていたら「マガモとヨシガモはどっちがうまいの?」などと野鳥の会の人に聞いてひんしゅくを買っているのがいた。

 相手が鳥なら、静かにじっとしてが基本だろうけど、虫を見つけたら追っかけまわす指導員には鳥の観察会はやっぱり、たいくつ…。クラッシックのコンサートについていった子どものようでありました。じっと驚かさないように、自然の様子を観察するやり方と、実際に感じるやりかたとどちらも大切なのだけど、人だから性分があって得手不得手はしかた無いかな、と思った。

バンダー登場

16-12-28

 最近下判田里山観察会に顔を出すようになった中村くん、彼はバンダーなのです。バンダーとは野鳥の標識調査員のこと。環境庁から依頼を受けて鳥類標識調査(バンディング)をする。バンディングとは「一羽ごとの鳥が区別できる記号や番号が付いた標識(足輪)を鳥に付けて放し、その後の回収(標識の付いた鳥を見つけ、その番号を確認すること)によって鳥の移動や寿命の情報を得る調査方法」のこと。

 休みの日には早起きをして、かすみ網をかけて野鳥を捕まえる。10時ごろ観察会の参加者が里山に行くと、捕まえて足輪をつけた鳥たちを見せてくれる。腰にさげた木綿の袋からノゴマ、シジュウカラ、シロハラ、ツグミ、カワラヒワ、アオジさまざまな鳥が出てくる。オスとメスの違いや幼鳥と成鳥の見分け方も教えてくれるけどとても覚えきれない。

 とにかく、身近で鳥が見られるので子どもも大人も大喜び。足輪を付けた鳥をそっと地面に放すとつつっと飛んで近くの木で一休みして飛んでいく。捕まえられて少しグロッキーになっているからだそうだ。北海道からはるばる渡ってきたノゴマ。私たちにはめずらしいけど北海道生まれの中村くんにとっては身近な鳥だったとか。見ていると気の荒い鳥やおとなしいのとか、いろいろいて面白い。「モズにつつかれて血だらけになっちゃいました。」と楽しそうに話す。ホント鳥が好きなんだな~。

 バンディングの結果はきちんと環境省に報告しなくてはいけない。けっこう大変な仕事なのだが、ボランティアである。日本中にこういう人たちがたくさんいて自然保護が成り立っているのだなとあらためて思う。

 「今度カモメを捕まえようと思うんですよ。」「カスミ網使えないでしょう?」「餌をまいて近寄ってきたのを網で捕まえる。」う~ん。もう30歳になったでしょう。彼女は捕まえなくていいのかと思わず言いそうになってしまった。ガンバレ中村くん!

明野北小学校の観察会 ニューフェイス登場

16-12-18

 今年も明野北小学校二年生から観察会のお呼びがかかった。場所は高尾山自然公園。指導員は虫の担当・草木の担当・ドングリ担当などに分かれることになった。私はドングリ担当。そしてパートナーは今年の夏、自然観察指導員の資格を取ったばかりのニューフェイスの早百合さん。目元のパッチリした美人。おまけに視力もいい。遠くの梢のコゲラを見つけて「あの鳥、何ですか?」と聞いてくる。

 「どんぐり探検隊」と名づけて、いろんな種類のドングリを見つけることをテーマとする。

 早百合さんに隊長になってもらって子どもたちへの話しかけをしてもらう。新人といっても普段から紙芝居などで子どもたちに接しているという彼女の話は子どもたちをひきつけ上手に導入していく。高尾山自然公園は、マテバシイ・スダジイ・コナラ・アラカシ・ナラガシワ・クヌギとドングリの種類も多い。今年は多かった台風の影響で実が少ない種類もあるけど、拾いきれないほど落ちているものもある。手に手に袋をもった二年生とわいわい話しながら拾って歩く。「大きさは同じくらいだけど、帽子の模様がちがうよ。」「葉っぱごとみつけ。」「葉っぱの形もちがうね。」

 一クラス終わって次のクラスの子どもたちと交代したら、すごい女の子がやってきた。

 今年はほとんど実をつけていないマテバシイの実を持っている。「おいしいよ。」と前歯で割って食べて見せてくれた。よく見つけたなというのとこの特別固いマテバシイを歯でカンタンに割れるなんてと二度びっくり。スダジイの木の下に連れて行くとこの実も食べられる事や名前もちゃんと知っている。聞くとお父さんに教えてもらったと話してくれた。彼女に先生になってもらって(ドングリの名前はほとんど知っていた)いろいろ教えてもらう事にする。ドングリの帽子(ズボンと言う人もいる)の名前は殻斗(かくと)ということも教えてくれた。スゴイ!実は私は最近知ったばかり。ちょっと悔しいので漢字を知っているかと聞くと知らないという。二年生相手に恥ずかしい。で「漢字でカクトむずかしい。」と駄洒落を言ってごまかす。これは少し受けた。

 隊長の早百合さんにまとめをしてもらう。シートの上にみんなで集めたどんぐりを広げる。大きいクヌギが人気。でも一番はスダジイ。「ドングリが食べられるなんて知らなかった。」「おいしい。」「お家にお土産にしょう。」

 食べて苦かったほかのドングリも稲作が入ってくる前は人の大事な食料で、工夫して食べていた事なども話した。持って帰るドングリを土に埋めて育ててみてねと頼んだけど、植えてくれたかな。

海岸植物群落調査(大在干潟)

ハマナタマメ

ハマナタマメ

 全国の自然観察指導員の宿題、海岸植物群落調査をしなくては…。日本自然保護協会から「進み具合はいかがですか?」という葉書まで来てしまった。

 さて自然観察会の「森と遊ぶ会」が調査と観察会を大在干潟でするとのこと。これで行こう!

 当日集まったメンバーを「観察会の子ども組」と「調査隊」に分ける。当然みんな観察会に流れて、調査は私を入れたおばちゃん3人組みになってしまった。さてと、ここはいったいどこなんだ?名前は干潟となっているけれど、せき止められた河口にしか見えない。

 護岸工事の結果、かつての干潟が堤防沿いにある河口に姿を変えている。大分市内では海岸(植物のはえている砂浜)が殆ど見当たらない。名前ばかりの大在干潟にきてみたのだがやはりという結果になっていた。海岸が無くなっている、これは日本中で起きている事態だそうで今回の調査もこのことを踏まえての事である。

 それでも河口沿いに植物がはえている。調査表を片手に調査を開始する。レクチャーを受けていたので植物の名前は大体わかる。はっきりしないものは?のマークを付けて書き込む。傍らデジカメで写真を撮っておく。ツルヨシ・ハマゼリ・ハマサジ・ハマナデシコ・ハマヒルガオ・ハマエンドウ・ホソバノハマアカザ…。チガヤやセイタカアワダチソウのある辺りまで調べて内陸植物郡落となる。今回は測量を仕事としているIさんが測量の道具を持って来てくれたので海岸の距離も簡単に測れた。文明の利器はすばらしい。

 昔はアシと言っていた植物名が今はヨシと言う。アシでは「悪」になってよくないから「良」だそうだ。だから「考える葦」は「考えるヨシ」。これも「ヨシアシだね。」と風にそよぐヨシの群生を見ながら軽口をたたく。梨を「有りの実」と言ったり、河豚をふく(福)と言ってみたり、目くじらを立てるつもりは無いけど、そもそも言葉ができたときの意味合いは分っているのかなと思ってしまう。

 さて、現地調査が済んで報告書を書くために図鑑を持って再度集まった? マークの植物を調べていく。前回のレクチャーでもそうだったのだが、「ハマ」が頭につく植物名がやたらと多い。なんにでも頭にハマとつければいいんじゃないのという気分になってしまう。最後に見たきれいな豆の花の名は「ハマナタマメ」やっぱりね。

渡り鳥を見に

16-10-7

 「夏鳥がそろそろ南下し始める時期ですよ。」野鳥の会のSさんにお誘いを受けて、大分県の先っぽ、四国に一番近い佐賀関まで出かけた。「鳥は早起きですからね~。」ということで7時20分に待ち合わせて、コーヒーをポットに入れ昨日焼いたフルーツケーキをリュックにつっこんで出かける。

 夏鳥は、春日本にやってきて子育てをし、秋暖かい東南アジア方面に行く鳥たちのこと。コースはいろいろあるけど四国から九州に渡るルートは佐賀関の関崎上空を通る。8時ごろ現地に着くともう野鳥の会の人が双眼鏡で空を眺めている。

 「曇りですからね。今日はわたらないかもしれません。」鳥は雨降りや曇りの日は移動しないそうだ。がっかり。今日のお目当ては「ハチクマ」ワシタカ類のトビよりすこし小さい鳥だ。野鳥の会の人がいろんな猛禽類の写真を見せてくれて区別を教えてくれる。会の人は初心者の私たちにとても親切。でも、ハチクマはほかの鳥より首が短いっていわれても全然ピンとこない。

 周りの林は先日の台風のためかなりの木が枝が折れたり幹がかしいだりしている。桜の木が花をつけている。ひどい台風のあとは桜が狂い咲きすることがあると聞いた事があるけど、このことかなと秋の彼岸の日にお花見。とその桜の枝にオオルリ。大きな望遠鏡をのぞかせてもらう。真っ青な背中の大変美しい鳥だ。しばし、うっとりと眺める。

 このあとカワウの隊列飛行やチヨウゲンボウやトビやコゲラを観察した。肝心のハチクマは3羽わたって行くのを見たばかりだった。ハチクマは他の鳥たちが九州を超え、琉球列島沿いに東南アジアに行くのに、長崎から中国にわたり大好物のハチをたくさん食べてから東南アジアにいくという変わり者(食いしん坊)だ。何だかとっても近しい感じがして、今度は会えるといいなと雨の降り出した岬を後にした。

雨の研修会

16-9-24

 2004年度の自然観察リーダー研修会最終日は、私たちが主催している「下判田里山観察会」で行われることになった。30余名が参加とあって駐車場の手配、公民館の使用許可、資料の準備とあわただしかった。

 当日は朝から雨。それもかなりの雨量。「駐車場はこちら」のダンボールの案内板も雨でぐしょぐしょ。それでもルンルンとまでは行かないけど、みんな元気に集合。

 彼岸花が咲き始めた初秋の里山。いつもの観察会が始まる。シロマダラヘビの幼蛇を見つける。道路に出てきたところを車に轢かれたらしい。この蛇はレッドデータブック(絶滅危惧種)に入っている貴重な蛇だそうだ。見つけた足立さんが「大分で見た7例目」と感激している。ビニール袋に入れて持って帰り、アルコールのビン詰めにする。木の枝に撒きついているシマヘビも発見。雨で気温が下がったので外に出てきて体温を上げているらしい。栗林にもシマヘビ、今日は蛇が多い。

 里山は人と自然の生き物たちとの縄張りの境界線が見えるところ。稲穂の実った田んぼと休耕田の間にイノシシの足跡が見える。やぶの中には獣道が通っているのがはっきり分かる。現在の里山は昔のように人が入らないのでかなり荒れている。荒れてる部分は動物たちが幅を利かせている。間伐されない杉林、はびこっている竹林、休耕田、やぶになった茶畑、、。ここの里山は大分市の公園計画に入っているので、公園にして整備してもらいたいと考えている住民が多いのだそうだ。いわゆる公園になってしまったら「里山」が無くなってしまうと考える私たち外部の人間。里山があってこその動植物がたくさんいる。公園化でそれらの保護はできるのだろうか。午後からの研修はこのことをテーマに話し合いをした。答えは簡単には出ない。里山にはそれぞれに地権者がいて、区長さんがいて、部落での話合いが大きな鍵となる。

 これからは観察会だけでなく、部落の人たちとの交流も大切な活動になってくるだろう。

 午後からの観察に顔をだしてくれたカワセミくんのすみかを守りたいと思った。