『沖縄の自然歳時記 季節と生き物ものたち』

掲載誌『月刊琉球』 2014年1月号 発行:Ryukyu企画

自然という文化

 「沖縄の自然歳時記 季節と生きものたち」は、春夏秋冬一年の季節を通じての沖縄の自然、とりわけ動植物を「文化的」視点から紹介した本です。

 「文化的」視点から沖縄の自然を紹介する、といっても分かりにくいかも知れません。例えば、本書には沖縄の自然を「分類学的」に紹介する本なら当然に掲載されるであろう「目」「科」「属」などの分類語はほとんど載っていません。その代わり例えば「アダン」なら、アダン・アダンギ(沖縄・奄美)、アダンムギー(宮古)、アザニ(八重山)と各地の方言が記述されています。

 また、本書のもう一つの特長として、種別ではなく季節を追って構成されている点が挙げられます。これもまた、「分類学的」書籍ではありえない構成だと言えます。しかし、だからこそ各々の季節での動植物の相互作用が想起できると言えます。

 本書が「分類学的」書籍ではないことを強調してきましたが、「分類学的」書籍でなければ何か。すなわち「文化的」視点からの書籍ということができます。 過日、とある講演会で「自然というのも文化の一つである」という話がありました。考えてみるとなるほど、自然に立脚しない文化というのは存在せず「文化的」視点から自然をみるということは、自然と文化のつながりを直視するということに他なりません。

 沖縄は「東洋のガラパゴス」と言われることがあります。なるほど、確かにそうなのかもしれません。しかしながら、我々ウチナーンチュはそのような「分類学」的視点のはるか昔から、沖縄の自然を沖縄の目線で語ってきたということ、その一端が垣間見える本書は沖縄文化社ならではの力作の一つです。(徳元大也)

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