『ウチナーグチ入門』

『月刊琉球』2月号(株)Ryukyu企画発行

生活の中のウチナーグチ

 北は九州の南から台湾へ弧状につらなる島々を琉球弧とよんでいます。その中に沖縄諸島、宮古諸島、八重山諸島があり、それぞれに異なった琉球諸語(シマクトゥバ)がのこされています。

 琉球諸語は地域ごとに特徴があり、一般に奄美方言、沖縄方言、宮古方言、八重山方言に分類されています。かつて各地でウチナーグチが話されていた時代は、道一つ隔てただけでなまりが変わるともいわれていました。

 本書「ウチナーグチ入門」では、そのような多種多様な琉球諸語の中から、一般的とされる首里や那覇地域のウチナーグチ(スイクトゥバ)を取りあげ、様々なシチュエーションのウチナーグチを掲載しました。幼児語などの例外を除き、言葉とは一生を通じて用いられます。ウチナーグチもまた例外ではありません。本書を通読することにより、わらべうたや基本的な会話から、沖縄独自の表現である琉歌、さらに当時は政治・外交の面でも重要であった組踊に至るまで、仕事や育児や趣味など日常生活のあらゆるシチュエーションでウチナーグチを使っていたこと、その断片を見ることができます。

 さらに、ある種の「現代文」として昔ばなしの耳切坊主を日本語訳と共に再録してあります。日本語訳と対比させて読むことで、ウチナーグチが決して過去の遺物、古典世界の言葉などではなく現代社会においても十分に復権の余地がある言葉との認識を深めて頂ければ幸いです。

 とはいえ、本書はあくまでも琉球弧の中の一地域である首里や那覇のウチナーグチ、その中のごく一部を取り上げた入門書です。ここを入り口として、各地域のシマクトゥバ復興やウチナーグチへの誇りが育まれることがあれば、望外の喜びです。(徳元大也)

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