『沖縄の由来ばなし』

掲載誌『月刊琉球』 2014年7月号 発行:Ryukyu企画
掲載誌『月刊琉球』
2014年7月号
発行:Ryukyu企画
 辞書で「由来」ということばを引くと〝物事がいつ、何から起こり、どのようにして現在まで伝えられてきたかということ。また、その起源、歴史、来歴、いわれ〟と出てきます。昔から人々は、ふだん使っていることばや習慣、目にしているものが、どこからどのようにしてやってきたのかということを考え、それを語り継いできました。

 この「沖縄の由来ばなし」には、沖縄に関することばや習慣、歴史、地名など、いろいろな種類の由来ばなしが登場します。史実に基づくものもあれば、『むかしむかし…』で始まるようなものもありますが、それらを交差させて読むことで、古めかしいおとぎばなしと一線を画して読むのではなく、先人たちがのこしてきた沖縄に対する思いと、現在自分たちが立っている位置とのつながりが感じられるような構成としました。
 ある意味で由来ばなしとは、西洋的な学問以前の、土着の言語学、歴史学、地理学であり、そこには沖縄の精神性が含まれているとも言えます。例えば、古今東西の民話や神話において、蛇は河川や生命力の象徴として語られています。この本の中にも様々な形で蛇が出てきますが、それはどのような扱いでしょうか。海や天はどうでしょうか。由来ばなしを通じてこそ、脈々と受け継がれてきた沖縄的なものの見方や考え方が共有化でき、次代へ繋げられると考えます。

 また、由来ばなしに限らずあらゆる民話は、その土地のことばで語ることに、民話としての本来のすがたがあるかと思われますが、沖縄本島のみならず、宮古や八重山など先島の由来ばなしもふくめて、まずは、沖縄という場所の広さや深さを多くの人に伝えたいとの願いから、公用語としてのヤマトゥグチ(日本語)で収録しました。

 この本を通して、ふるさと沖縄を思う心がさらに育まれることを願っています。(徳元大也)

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