『基地の島コンパクト事典』

掲載誌『月刊琉球』 2014年8月号 発行:Ryukyu企画
掲載誌『月刊琉球』
2014年8月号
発行:Ryukyu企画
 インターネットの普及に伴い聞かれなくなったことばに「ちょい引き」というものがあります。主に電子辞書のキャッチコピーのひとつで「気が向いたときスグに語意を調べられる」というようなニュアンスだったかと思います。なるほど、現在では「ちょい引き」どころかある程度専門的な内容までインターネットで検索が出来るようになりました。

 さて、この「基地の島コンパクト事典」は「基地の島キーワード」編、「沖縄の米軍基地」編、巻末資料編の三編に分かれており、沖縄の基地問題や米統治下の状況を読み解く上で、重要な単語や歴史的事件・事故、および現在まで続く在沖米軍の各基地についての解説が、沖縄の目線で解説されています。また、巻末資料にはニミッツ布告や祖国復帰闘争碑の碑文、沖縄戦後史を掲載し、単なる単語帳ではなくそれぞれの時代の文脈や背景を俯瞰できるような構成となっています。

冒頭の話に戻りますが、ある識者が紙メディアの必要性について次のように発言しています。『なぜ紙メディアが必要か?ホームページには「現在」しかない、歴史が刻印されないからである』と。二〇一二年一二月初版発行の本書には、今現在の基地問題に関するキーワード、「オール沖縄」や「建白書」についての記述は当然ながらありません。しかしながら、逆説的ですが、だからこそ価値があるとも言えます。二〇一二年一二月までに何があったのか、そこから何が起きたのか。

 来年で戦後七〇年になります。本書に掲載されている事柄も、読者によってなじみのあるもの、あるいは初めて耳にするようなものもあるかも知れません。本書が「現在」に追従するインターネットでは触れることの出来ない領域、すなわち「歴史」の断片と、そこから地続きの「現在」を考えるきっかけとなれば本望です。(徳元大也)

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