編集者の仕事

 編集者って何? よく聞かれることだ。そのたびに、「いろいろあるけど、出版に携わっていて、本の企画から原稿のチェック、印刷にいたるまでを管理している仕事」と答える。しかし、あまり理解してもらえることは少ない。そしたら、「簡単に言うと、本を作っているわけさ」と返すことにしている。すると、よくは分からないけど、『本屋さんに並んでいるような本を作っている人なんだ』ということになって、その質疑応答は終了することになる。これが、20何年か出版の世界にいる私の話。

 考えてみると、一般の方が持つ編集者のイメージというと、テレビドラマに出てくるような、颯爽とした女性が、髪の長い、少し変人の小説家などと打ち合わせをしているシーンのような気がする。もしくは、ノーネクタイで、少し流行遅れのカバン(けしてバッグでなのいのですね)を肩に掛けて、猫背で歩いている。絶対、筋肉モリモリの人ではなく、文学かぶれの少し世をすねた感じの男性っていう感じではないだろうか。

 当たらずとも遠からずだと思う。

 私は常々思っているのだが、本は読まなくても死ぬことはない。なくても生活に困ることはない(但し、活字中毒者は別の話)ので、本当に本好きの人でない限り、編集者の存在を気にしたことなんてないのだと思うのだ。いてもいなくても自分自身に困ることはない、それが編集者の存在だと思う。編集者でしか生きられない私にとって寂しいことだが、それは事実だと思う。でも、本はたくさんの人に必要とされているからこそ、たくさんの本が古今東西、さまざまな時代を越えて出版され続けていることも事実。

 その事実に私たちは誇りを持っている。

 このエッセイでは、このような本にまつわる話を気の向くまま、つらつらと書き続けていきたいと思っている。興味のある方に読んで頂ければ幸いです。