組踊の世界 私の見方・楽しみ方

●組踊の世界 私の見方・楽しみ方
勝連繁雄著 ゆい出版刊

 これまで何回も言ってきたし、書いてきたことだが、私は組踊が大好きだ。何回も舞台を観てきた。好きな組踊も好きな立方も、好きな地謡もいる。
 しかし、組踊の構成や作者の意図した台詞や内容が伝えているもの、実演家の方々がどのような気持ちで演じ、謡い上げているかを考えながら観ることはあまりなかったように思う。たぶん、私と同じように、ただ舞台の面白さだけで観ている人は多いと思う。

 そんな私に、組踊の奥深さと更なる面白さを教えてくれたのが本書「組踊の世界 私の見方・楽しみ方」だ。そして、私の理解していた組踊が表面的なものであったことを教えてくれた。

 何よりも嬉しかったのが、取り上げた組踊の展開に合わせて解説していく手法。例えば、「執心鐘入」であれば、最初に演奏される「金武節」の解説があるのだが、単なる解説ではなく、金武節がこの場面に配置された理由、他の組踊に採用されている金武節との相違、類似点が挙げられ、それから次の場面説明に移る。そして展開に合わせて、主人公中城若松と宿の女の台詞やり取りの意味などの説明がされていく。

 それが、難しい文章ではなく、わかりやすい文章で綴られているので優しいのである。読むほどに、舞台が脳裏をよぎり、頭の中で、新しい「執心鐘入」が演じられていく感じなのだ。

 他の組踊も同様。本書には「執心鐘入」の他、「二童敵討」「女物狂」「孝行之巻」「銘苅子」「手水の縁」「万歳敵討」「花売りの縁」「大川敵討」の計9本が採り上げられているが、その全てにわたって、組踊の魅力が余すことなく解説されている。

 周知の方も多いと思うが、著者の勝連繁雄氏は、現役の実演家であるとともに、高校の教諭もなさっていた。その実演家としての積み重ねと、高校生へ教えていった経験の深さがあってからこそ、本書のような、組踊の魅力のエキスの全てを搾り取ったような内容が表現できるのであろう。
(06年8月21日)

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