沖縄県産本

 私は、県産本ネットワークという、沖縄で編集・出版されている本を広め、販売に結びつけていこうと活動しているグループの会員で、ラジオで、県産本の紹介コーナーを持っている。ご周知の方も多いと思うが、沖縄は出版が盛んなところで、年間200から300冊近い書籍が発行されている。よく、「どうして沖縄はこんなに出版が盛んなのですか」と聞かれるが、そのたびに私は「沖縄は本を読みたい人よりも、出したい人が多い地域だと思うんです」と答えることにしている。そうでなければ、県内出版の多さが説明できないからだ。

 沖縄は全国的に見ても出版が盛んな地域といえる。年間200冊から300冊近い本が出版されているので、驚く人は多い。ただし、この出版点数は公式なものではない。本当にありとあらゆる所から本は出版されているので、出版点数を調べることが不可能なのだ。くわしくは、当コーナー「いっしゅん堂本舗」にて後日改めて書くつもりなので、ここでは細かく書かないが、出版が多いというのは誰でもが認める事実といえるだろう。

 かくも出版点数の多さを誇る県内出版だが、一般読者の目につくような場所に置かれている本は意外に少ない(本当に意外に思われる方は多いと思うが、書店に置かれている県産本は県産本の一部でしかない)。一般読者の目が目にしている本は、数多ある中の一部なのだ。では、書店に並んでいる以外の本とは何か。それは、自費出版本なのだ。

 自費出版というと、功成り遂げた老人が、自分の自慢話をしていると思う若い人が多いと思うが、自費出版とは簡単に言えば、出版に関する費用を個人で出すこと。つまり、自分の本を自分でプロデュースすることなのだ。出版社では採算が取れないので、自費出版せざるを得ない本もあるが、自分のことを書いたものなので、自分で責任を持って出したいという人がほとんどである。中には、おじいちゃんや、おばあちゃんの波乱に満ちた人生を、記録として残したいということから、家族の方々の説得で出版する方もいるし、生年祝の席の記念品として編集する方もいる。

 人間の数だけ人生があるとは、よく言われることだが、自費出版の数だけ、さまざまな人生が込められているといってもいいのではないかと思う。種類も、個人史あり、体験記あり、歌集あり、家族の写真集あり、多岐にわたっている。その本のいずれにも、著者の息づかいが聞こえてくるような気がするのは私だけではないだろう。

 少し、標題とはずれてしまったような気もするが、沖縄の人々にとって出版が身近にあるということは事実。版元が刊行する商業出版物も多いが、今日も、自費出版本が生み出されているのが、沖縄の出版なのである。そして、それが、巷間言われている沖縄県産本の隆盛ぶりを支えているのである。