花ごよみ 亜熱帯沖縄の花

●花ごよみ 亜熱帯沖縄の花
アクアコーラル企画編集部編 アクアコーラル企画刊 定価2800円(税別)

 以前から植物には興味があった。しかし名前がわからず、ただ愛でるだけだった。図鑑や植物園などへ行って、学習しようと思ったこともあったが、あまり効果がなくて諦めたこともある。人に限らず、植物の名前を覚えきれない自分に腹がたった。でも、言い訳めいたことを書かせてもらえば、植物って同じような形なのに違う名前だったり、花の咲く季節が違うことで名前が違ったり、もう大変なのだ。本当にたくさんの植物や花を見て(それも漫然と見るのではなくて、ちゃんと観察しなければならないのだ)、経験を重ねないといけない、らしいと気づいたのは最近のこと。そのように達観してからは、印象に残る植物・花を覚えるようにした。
 また、植物図鑑をめくってみることもあったが、ヤマトと沖縄の植物体系は違うので参考にならないし、県産本にはあまり植物関連のものはない。あったとしても、写真が小さかったり、全体像だけで大事な花や葉の部分が見えにくかったりと、これも私には参考になりにくかった(もちろん私の勉強不足で、しっかりとした植物図鑑は発行されていると思います)。ということで、植物には興味があるが、名前がわかるものは少数。その他はなんだか曖昧かついい加減に覚えているフリをして過ごしていた。

 そんなとき、1冊の本に出会った。それが本書。

 私にとって本書が有り難かったのは、全面的に花の写真をアップで撮っていること。じゃあ、花が咲かない時季は名前がわからないじゃいかと言われそうだが、私のような、気ままな花愛で男は、花が咲く時季にしか目がいかないから、かえって重宝なのである。あっ、この花だぁ。だあ、なんて名前かねぇ。なんて思ったとき、花の形や香りなどを頭に刻みこんで、本書をめくる。『今は何月だからぁ』などと鼻歌まじりにめくる。おおぉっ、貴殿(貴女)はこのような名前だったのかぁ、と記憶の引き出しに入れる。

 さりげなく書いたが、本書の特徴のもうひとつ。そうなんです。花の咲く月・時季に合わせて掲載されているのですねぇ。例えば、今は9月なので、そのページを開くと、まず目に飛び込んでくるのが『ウナズキヒメフヨウ』と『トックリキワタ』。そうだなぁ。今、あちこちで見かけるよなぁ。などと悦に入ることができる。なおかつ、そろそろ次はどんな花が咲くかなぁ、などと思いつき、10月のページを開くと、『ホシソケイ』『コバノセンナ』と、あまり知らない花が掲載されるが、次の『バルレリア』で、あぁ、見たことある! そっかぁ、『バルレリア』っていうんだ。などと、一人遊びができるようになっている。

 また、面白いページもある。最初に掲載されている「色で探す花目次」がそれ。今の季節ではなく、思い出したい、もしくは教えてあげたい花があったら、このページをめくればいいのだ。白色系から始まって、黄色系、オレンジ系、赤色系、ピンク・赤紫系、むらさき系と連なっている。もちろん、具体的な説明は本文に掲載されている。

ねっ便利でしょう。もちろん、索引も付いているので、花の名前から検索することもできる。花の色、花の差宇季節、花の名前、3種類から確かめることのできる植物の本。突然、花の綺麗さや可憐さに惑溺してしまったとき、または、正しい花の名前を連呼したくなったとき、本書が手元にあるといいですよぉ。そして、記憶力の衰えてきた中年男は、次の季節になると、またまた「なんて花の名前かなぁ。確かに調べたんだけどなぁ」などと呟きながら、この本を来年もまためくっていることでしょう。
(06年9月25日)

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