沖縄のうわさ話

●沖縄のうわさ話
「沖縄のうわさ話」ウエブサイト 管理人tommy編 ボーダーインク刊 四六判 定価1500円+税 

 根っからのアナログ人間である。インターネットの検索もよくわからない。詳しい友人に聴いたら、検索方法が間違っているのだそうだ。といわれても、よくわからなかった。ただ、こんな私でも、毎日友人のブログ(この言葉の意味も最近知った)を見て、県内版元のホームページやいくつかのホームページをチェックしている。何せ、この文章を書いている場所が沖縄文化社さんのホームページなのだから。私も進歩したというべきだろうか。ところが、世の中の進歩というか、思考は私とは全く別のところで動いているらしい。ホームページから誕生した本があるというではないか。

 もちろん、いくら世の中に疎い私でも、これまでに幾つかホームページから生まれた本があるというのは知っている。沖縄でもボーダーインクから何冊か発刊されたという記憶がある。しかし、それらの本に関しても、私は活字を読むだけで、そのホームページまでチェックするわけではなかった。印刷された本のイメージを大切にしたかったからだ(インターネットが先なのだから、こんな考えはおかしいかもしれないが、私にとっては発刊された本が初めての出会いなのだから、それでよかったのだ)。当然、今回も本書を読んだのが先。何故『ゆーれいスポット』が先に掲載されて、ページ数を割いているのか疑問であったが、2章以降の『沖縄の笑い話』『島ことばのうわさ話』『ユタのうわさ話』『オキナワの昔話』『ちょっといい話』は、それぞれ味があって面白かった。書を読んで強く感じたのは、これだけアクセス数が多いのは、管理人のtommy氏が、投稿(投稿でいいんだよね)された文章をきちんと読み込んでいることと、コメントが非常に優しいことだ。

 決して悪意のあることは書いていないし、本当に愛情を持って、このホームページを運営しているという気持ちが伝わってきた。それが、私の一番きらいなオキナワンナショナリズムに陥っていないことにつながるのだと思う。もちろん、たくさんの方々の投稿作品だから、面白い文章や上手い文章があるし、逆にステレオタイプの内容があったりもするが、根底に流れているのは、沖縄のことをもっと知りたい。地面に足のついた情報が欲しいということなのではないかと思った。

 もうひとつ面白く感じたのは、年齢層が広いということ。私の小学校や中学校のころの出来事が昔話にあるというのが不思議な感覚に陥ってしまったが、それでもみんな違和感なく投稿し、読んでいるような気がした。老若男女が年齢を気にすることなく楽しめるインターネットという性格の面白さにつながるのかもしれない。そして、みんな自分探しならぬ「自分自身の沖縄探し」をしているのではないだろうか。自分の住んでいる沖縄ってどんなところ? 私の好きな沖縄はどこ? 沖縄の良さを共有しようよ! もっと沖縄のことを知りたい! なんて感じかな。
 それを温かい目でtommy氏が見つめているのだろう。

 読んだ後、これまでにないパターンの本だと思った。こんな本が発刊されたよと紹介すると、ほとんどの人がこの本の存在を知っていた。また、アクセス数がべらぼうに多いということが、表紙ジャケットに掲載されていたからだ。すると、本には入りきらないほどのジャンルがあって、それぞれに投稿された文章が掲載されていたのであろう。私のようなインターネットの門外漢からすると、非常な驚きだった。恐るべしインターネット。やはり巷間いわれるように、本もインターネットと融合する方向に行くのかもしれない。でも私には、やっぱり本で読んだほうが面白いな。いろいろなことを考えさせられた本であった。
(06年10月10日)

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